撮影日誌
by 監督なかやん

2004年2月22日(日)
3年越しのクランクイン


12:40、脚本の打ち合わせ。
結構有効な待ち時間の過し方。
手前が監督。
 その日は朝から雨でした…。
でも昨夜3:00、機材を搬入(そんなに多くないですが)した時はそんな気配は全くありませんでした。しいて言えば風が生温かった。
 その3:00に今回メインとなるクラブArcadiaのロケ地「PINK FLAMINGO」にいたのがこの店のマスターで小林刑事を演じる小森誠、清水健役で同店チーフの山田明宏。
 お店を早く閉めてすっかり着替えてました。で、時間ちょこっとあったので軽く打ち合わせ。
「監督のやりたいようにやって下さい。全面的に協力しますから。」と。その言葉にかなり励まされました。

 店の集合時間が12:30。
店の集合は多摩子、清水健、小林刑事、助監督の4人。しかし助監督から電話が。場所がわからないそうだ。50m先にいたのですぐにわかったからよかった。
 この時点で助監督は出演者と初顔合わせ。演劇の演出経験者だけあって馴染むのも早かった。
 多摩子役は土曜日の3:30にギリギリ決定しただけあって脚本を手渡したのはこの日。ていうか持って帰ってなかった。その性格が多摩子とピッタリではあるが…。
 馬場役と野口役が集合が遅れるとの連絡があり、1時間ほど読み合わせが出来た。



この通りが永昌東町。

ここでクランクイン。

 13:50、馬場役から連絡が入る。
「もうすぐ着く」と。
 この日の撮影は野外から。
場所は長崎県諌早市の繁華街の一つ、永昌東町にあるサンシャインビル前。
ところが店を出て監督と助監督、小林刑事と多摩子&清水健が向かったのはそこより離れた場所にある「ロイヤルサンショウビル」。
助監督が違う方向に車を走らせていたので気づきました。
馬場、野口もそこに向かったらしい。

 ようやく場所にたどり着いたのが14:00。今だから言えますが、全員路上駐車しました。
 「サンシャインビル」を選んだのは「階段が個人的に好き」だから。
事務所の階段という設定です。

 14:10。いよいよ撮影開始。
少し状況を説明して、気分をほぐしてから撮影を開始したが、どうも野口役の体調がイマイチかもしれなかった。体のキレが芳しくない。
仮編集の時点でアフレコの可能性が強くなった。雨の音が大きい。
 後日書き直した脚本には天候の設定も加えたので、ある意味有効ではあるが…。
 テイクは4つ。この階段を4回上り下りした。その間、清水健役のアッキーこと山田明宏はテイク3で吹き出すほどのリラックスぶりを見せてくれた。
あまり笑うなという指示を前日に話してはいたが。でもこれもいい方向に、彼なりの役作りの成果なのであろう。


問題の螺旋階段です。

なぜに清水健は走るのか!?

 続いてシーン6。同町のハローユービル。場所は前出のサンシャインビルとは数軒ほどしか離れていない所にある。
元々サンショウビルでの撮影が予定されていたし、脚本でもそのことを想定して書かれている。
しかしスケジュール的な問題で他を探していた。サンショウビルは吹き抜けになっていて、エレベーターが透明なので絵にはなった。
ハローユービルは螺旋階段を見てカットの変更をした。その分シーン7がカットになった。

 現場で変更点を説明して撮影スタート。
今度はテイク2で終わった。
その後、追加カットでアッキーが螺旋階段を走ることに。
この階段、実は5階まであるのだがそこを4往復。そのうち1回はカメラマンも兼任する監督が転んだのが原因。
雨の日だから仕方あるまい、そうだろう!?


 14:30、再び「PINK FLAMINGO」に移動。
10分間の段取り後、シーン○○からスタート。
ここは重要なシーンかつ、唯一絵コンテを描いた場面。
現場でカットをつないでいきたかったが、出演者は戸惑う。
そこであえて沈黙を与えました。
何も指示を出しません。
みんな演技に慣れていないため、自分で考えさせるのが目的です。
その思惑に乗ってくれたのが、馬場役のカッちゃんこと辻勝子。
彼女も演劇の経験はあるもののブランクはかなり長い。
ちょっとその頃を思い出してくれたのかもしれません。
彼女には映画をスタートさせた2001年からずっと一緒にやろうと言ってました。
その分どんなことがあろうと信頼しているというのが僕の本音。
積極的に動いてくれて見事に応えてくれました。

ここから一気に活気付きます。
せりふもキャッチボールのように言い返すことが出来るようになりました。
このシーン、ダメ出しはあまり無し。
野口役のケーちゃんの一部のせりふぐらいです。

何が…。

何が起きたんだ!!

3年越しの競演、カッちゃん。

指示待ちの多摩子役、ゆーかちゃん。

ケーちゃんも3年越し。

シリアスなシーンも絵になった!!

 それから清水健のアップ撮影。
清水健の演技はアドリブという形になる。
ここでダメ出し連発!!
でも笑えるので何らかの形でNG集はやりたいところだ。
かなり体を張ってもらった。

ダメ出しその1…。

主役は体が資本なのか…?


 15:30、シーン14の撮影を開始。
ここまでいいテンションである。
このシーンは2分割で撮影する。
カメラを2台使う予定だったが、テープが回らなくなってしまった。
そこでカット毎にカメラの位置を変えて撮影。
そのため手持ち、しかも広角レンズを使っているのも関わらず壁に張り付け状態で多摩子、清水健、馬場のスリーショットを撮る。
清水健のアップ以外はダメ出しなし。
ここでカッちゃんの今日の撮影は終了。

 その後、店内・厨房にて多摩子と清水健の撮影。
「普通にガツンと言っていいよ。」という監督の指示通り、ゆーかちゃんは見事な演技を見せてくれました。しかも指示してないところまで…。
 ここはちょっとだけカメラの構図を変えたりしてみました。
厨房に一人ずつ入っての撮影は見事NGなし。しかし撮れていないところもありましたが、不要なせりふだったのでよかったです。

馬場の秘密が明らかに!!

 いよいよ出番待ちの長かった2人の役者が登場!!
まずは小林刑事役の誠クンのシーン。
ここは今日になって急遽撮影が決まったシーン。
ホントは野外のカットがあったんですが、雨で中止。
今日撮れるシーンを事前に探したところ、このシーンがあったんですねぇ。
 17:00スタート。トイレのシーンだったので狭い狭い…。
3分でOKが出ました。

 そしてもう1人。
役柄はこの時点ではまだ言えませんが、監督も出ます。
この日のラストは僕です。
衣装が間に合わず、たぶん他の日にまた撮影ですがNGは出していません。
撮影は助監督が行ないました。
やっぱりファインダー観てないと不安ですね。

長かった…。でもなんて短い撮影だろう…。

いかにも怪しいシーン…。
17:35。
本日の全ての撮影は終了です。
結構盛り上がり、先に上がったカッちゃん&けーちゃんから連絡があって楽しかったから早く次やろうと。みんな楽しめてよかったです。
そのまま帰って少し寝て、また編集に入りました。
修正を入れない仮編集が終わったのが22:30。
1時間程度ですが、すぐに観直して修正点や問題点を探しました。
それからすぐ助監督に連絡。
てな具合で非常に長い1日でした。


<<おまけ>>
「多摩子を探して」

 多摩子役は21日(土)3:30ごろ決まりました。
それまでみんなで探していたのですが、なかなか見つからず。
もし見つからなかった場合の案として
「カッちゃんを多摩子役にスライドして別の人を馬場役に」
というのがありました。

 正直言って勇気のある決断でした。
馬場はカッちゃんをベースに作り上げたキャラで、結構難しいところです。
しかし多摩子の性格を表現できるのは彼女だけだし、前の多摩子役の信頼している人物でもありますから。1年以上考えた役なので安心して任せられるのではというのも一理あります。
 そしてこの2人、付き合いは長いのですが、かなり性格的に似ている部分がありますし、僕とカッちゃん、元多摩子は共鳴出来るところもあります。

 前の多摩子役には降板の連絡があった時、すぐに代役で行くと決め、彼女にもそれを伝えたところ「監督に任せます」と言われました。
 その言葉に甘えるに値する人物がいるのかどうか、一か八か撮影は22日クランクインという予定は変えず、ギリギリまで探し続けました。

 その日の深夜、誠クンに連絡を入れました。事前にある女の子で行こうかという話をしていたからです。その女の子はその時近くにいて返事はNGでした。
 そこにお客さんでもう1人店に残ってました。ゆーかちゃんです。
僕の飲み友達でもあり、「PINK FLAMINGO」(※1)の常連さんです。
誠クンは「聞いてみたらどうですか?」と言いましたが、僕自身気持ち的にはダメ元で電話を変わってもらって聞いてみることにしました。
「ギャラ以外の言うことは聞きますから。」(※2)と説得しました(笑)。

「いいですよ。」すんなりOKが出ました。
思わず誠クンに「ホント大丈夫なの?」と聞いてしまいました。
誠クンは「手元に脚本あるから見せて説得しますよ。」と言ってくれました。
誠クンがそういうのであればと信頼しました。
彼女とは最近よく一緒に飲むのですが、その行動を頭の中で追ってみました。
僕は今回の出演者は全員、実際合って話をして素のままを見て出演を決めていきました。
たしかに彼女は多摩子だ、いや新しい多摩子だ(※3)。

 多摩子の代役を探すにあたって設定から変えるつもりでした。元々30歳手前という設定から20代前半くらいまで。若いオーナーでもいいじゃないってことでそうしました。
 撮影前の設定としては多摩子は昭和を生きた女性をイメージしていました。
なんというか線が細くて、力強く生きて…。そんな感じでした。
元多摩子もカッちゃんもその強さがありますが、現代風に愛嬌も入れてみようかと。
今のところ予定にすらないのですが、清水健が惚れてしまってもおかしくない(※4)女性で行こうとかと考えていました。
 その愛嬌が彼女にはありました。それで彼女に決めたのですが正直なところ当日に関する不安はやはり隠せませんでした。

 撮影当日、酔ったいきおいで言ったと彼女は言ってました(笑)。
幸い待ち時間が長かったので、説明をしたら乗ってくれました。

 みなさん、この主役をどうか可愛がってください。

「カメラ目線をくれ」と言ったらこのとおり余裕のポーズ。
それがあなたらしくキャラどおりなんですよ。
HP担当者より補足

※1:
「PINK FLAMINGO」はスナックです。しかし小林刑事役の小森誠さんがオーナー、清水健役の山田明宏がチーフのお店となると女の子のお客さんも多いことでしょう。本当に多いです。
※2:
出演者は基本的にノーギャラですが、映画公開後DVDを売ると本人にマージンが多めに入るようになっています。またお店のドメインを1年間無料で取得するというのもあります。
※3:
撮影後、元多摩子役に監督は電話したそうです。その時の内容によると、多摩子という名前は使わないかも、ということでした。本編に出るのは多摩子の妹で、続編にもっとパワーアップした多摩子が出てくる可能性が濃厚だそうです。でも続編もやるの!?
※4:
監督の話によると、この2人の恋愛はありえないそうです。
また「原案どおりに行くと多摩子はラストで死んでます」…!?元多摩子役に話を持ち出した時もラストで死ぬことになってたそうだ。


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